実際に施設に入って介助業務をするまでは、介護の仕事って身体的にも衛生的にもきつい仕事だと思っていました。要介護者の体を持ち上げたり、排泄介助を行ったり、しかも給料も安い。
ただ、仕事を始める前の印象と変わった部分があるので、 実際に現場に入ってからの経験をもとに記事にします。
介護職員って大変…
身体介助も人間一人を持ち上げたりするわけですから、大変な介助業務としてのイメージが強いと思います。
でも未経験の人が介護職員の業務で一番の壁になると思われているのはなんといっても排泄介助でしょう。
利用者とはいえ、やはり他人の排泄物を処理する行為に抵抗感があるのは当然だと思います。
僕も介護職で働くまでは排泄介助について自分がどう感じるかは一つの壁でした。僕がホームヘルパー2級を取得した時は高校生の時です。その時の講義の中では、排泄物の介助についての実習もなかったですし、施設での研修もありましたがそのときも排泄介助についてはホームヘルパー2級ではさせないことになっていたと思います。
しかし、たぶん当時から実際に介護職員として就業する場合はホームヘルパー2級とはいえ排泄介助は業務内容の中に入っていたと思います。無資格で業務に入ったとしても当然業務には含まれていたのではないでしょうか。
排泄の観察、記録は重要
主に高齢者となる利用者の健康状態を把握するうえで、排泄はとても重要な記録となります。
今は健康で毎日排泄行為を自分で行えていても、要介護度の高い高齢者になると自分でトイレに行くことも困難になりますし、なにより循環器系機能の低下によって便秘も慢性的になってきます。
利用者の状況によって看護師の指示で調整しますが、人によっては毎日下剤を投与しますし、3日4日と便が出ない日が続くと下剤の量も増えます。
便が出ているかどうかは排尿も含めて記録に残しますし、尿の色や便の形態も記録して利用者の体調の変化に気付けるようにします。
結局は慣れ
まぁ、排泄介助は記録も含めて利用者にとって重要なのはわかっていても、実際にやってみないとなかなか伝わない部分でもあると思います。
身体介助は人を抱きかかえたり、立ち上がる際に補助で支えたりと一般的にイメージもしやすいですが、大人用のオムツを取り替えたり陰部を洗浄したりすることって想像すらしたことない人がほとんどだと思います。
僕の場合は、未経験で介護業界に就くことを考えてから”まずは特養で介護スキルを身につけよう”と考えていたので、施設に入ってから初日に排泄介助を見せていただいたときからユニットリーダーのスキルを盗ませてもらおうと職人から技術を盗む見習いのような気持ちで臨んでいました。
1人でシフトに入るようになるまでに指導期間をしっかりつけていただける施設を派遣会社から紹介していただいていたので、こういったスキルの面でも丁寧に教えていただけました。
また、指導してくださる先輩職員の方たちも何人かいたので、人それぞれのやり方やコツなど気になるところは都度聞いていました。どの方も基本的なことはしっかり押さえながら、ちょっとしたコツの部分は人によって違ったので、自分のスキルに合わせて吸収できるところはしっかり学ばせていただきました。
オムツ交換(パット交換)に限らずですが、介護業務はとにかく数をこなしていった方が身につくのが早いと思います。
最初は絶対キレイに止められないですし、最低限パットの当て方が甘くて失禁しないようにさえしていれば、もうあとは慣れです。
利用者の排泄物を見るという事についても、たぶん一番最初に見た衝撃を超えることってないです。その経験があってからびっくりすることがあるとすれば、便失禁とか便を手で塗りたくっている状況だと思います。後者の状況には僕はまだであったことがありません。
排泄介助に限らず、三大介助(身体介助・排泄介助・入浴介助)は介護職員としての技能として身につけておかないと仕事になりません。それ以外の部分でやらないといけないこと、気を付けないといけないことがたくさんあります。
最初の戸惑いはさっと受け流してしまって、スキルを身に着けることを優先に考えましょう。丁寧に手早くできるようになると時間に余裕が生まれて、より楽に働くことができるようになります。
介助が一通りできるようになったら
シフトの勤務の中で自分ひとりで業務が回せるようになったら、めちゃくちゃ楽になりました。
それまでは初めての業務に覚えることやわからないことが多く、その都度確認したり教えてもらったりしながら業務をしていましたが、一通りの業務を身につけたらあとは時間に合わせてその業務を遂行するだけになりました。
介護職の時間は過ぎるのが早い
さらに、だいたいの業務を完了支える時間が決まっているので時計を気にしながら間に合うように業務を組み替えていきます。
気づけば”もう休憩か”、”あと15分で勤務時間も終わりか”と決められた時間の中で限られた業務をするだけなので30分単位や一時間単位で時間が過ぎていきます。
イレギュラーへの対応をイメージしておく
一通り行ができるようになったら、介護の仕事はすごく楽です。
介護の仕事は楽、といってもこれは設備の整った老人介護施設で介護している方だと思います。やはり在宅でご家族の方からしたら介護はすごくしんどいことだと想像できます。24時間一緒にいる家族ですし、自分が用事で外出することも介護を始めるまでの生活とは一変してくるのではないでしょうか。
施設で仕事として介護業務に従事していても、毎日同じ時間に同じ介助が出来るわけではありません。
利用者の体調によっては、いつも起きている時間にしんどくて起きられなかったり、ごはんが食べられなかったり、排泄の面でトラブルが起きたり、と毎日イレギュラーに対する対応が求められます。
こうしたイレギュラーは起こるものだと思って、ある程度時間的に余裕をもって業務を遂行するイメージを持っておくことは非常に重要だと思います。
また、イレギュラーもいくつかのパターンに当てはまって起きてくるので、経験すればするほどその対応にも困らなくなっていくと考えています。
さらに介護を行う上での介護施設の利点としては、人が常駐していることが強く挙げられます。よっぽどひどい職場環境でない限り自分以外に介護職員がいますし、看護師だっています。
なにか起こったときや緊急性の高い事案が発生した場合はすぐにそれらの人たちに相談して対応を仰ぐことも出来ます。
給料は高くないが、仕事は楽
介護士の給料は安いとよく言われますが、それは間違っていないと思います。国や介護業界としてもその点を認識していますし、令和元年10月から処遇改善手当というものがつくようになりました。(現場ではあまり期待されていないようですが)
さらに特養は3割ほどの施設が赤字で運営していることもデータとしてあり、介護業界で働く介護職員としては、今後国の指針としてかなり画期的な変化が起こらないと先行きの不安は払しょくされない状況にあると思います。
現場の職員の不満は、施設の運営側に伝えて改善を求めていくべきことだと思いますが、介護の正職員の方たちの傾向からして、自分の処遇改善よりも自己犠牲の精神のほうが先に働く傾向にあり、平気でサービス残業を行っているのが常態化している業界(実際、介護業務以外の作業は時間外でしかできない)ですから、現場の声を拾って職場環境から改善していくのを期待するよりも、前向きい中長期的な視点で施設を運営したり、法人を経営している母体の施設に所属する方が先は明るいと考えています。
実際の業務は給料に見合ったもの
一通り介護業務ができるようなって仕事にも慣れてきたので、ここで改めで介護職員の仕事に対して思うのは、介護職員の給与の設定は仕事の内容に見合ったものである、ということです。
特別大変なこともないし、身体的にキツいということもないです。
精神面でのキツさは、実際の介護業務というよりコミュニケーションが必須な職種であるがゆえの人間関係に問題があると思います。
シフトの組み方で合う人の日、合わない人の日はあると思います。
人間関係については他の職種でも起こり得る問題なので、仕事として行う上での業務という意味では介護の仕事はかなり楽な部類に入ると思います。
さらに、基本的な業務は他の施設に行っても変わらないので、そうなってくると同じ時間拘束されるのなら良い給与条件下で働いた方が得になります。
介護職転身への第一歩は派遣からがロスが少ない
給料については仕事が始まるまでに比較して決めることができますが、職場の雰囲気や人間関係については、実際に入ってみないと分かりません。
正職員希望の場合はとくに精査して就職先を決める必要があるでしょう。
その点、派遣社員の場合は2ヶ月、3ヶ月単位で契約を結ぶので、もし職場の雰囲気が合わないと感じたら派遣会社の担当者に相談することも出来ますし、最悪一回目の更新で継続せずにほかの職場移ることも可能です。
とくに経験が浅い時は派遣会社を活用して、働きやすい環境を見つけることが介護業界に飛び込む第一歩として一番ロスが少ないと考えています。